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31歳の男が号泣した

レオンが旅立った。
先月、彼は15歳の誕生日を迎えたばかりだった。

1年前から心臓の弁の機能に問題があったのと腎臓が悪いこともあり体調はあまり良くなかったけれど 僕が2週間に1度は実家に顔を出して様子を見る限りでは目立った問題もなく、いつも通りの無邪気でノホホーンとした顔つきをこちらに向けながら、僕の顔にその全身を擦りつけて自分の匂い付けをしていた。

ただ、最近は確かに食べる量も減っていて、ちょうど亡くなる2日前に実家へ顔を出した時もポツポツと食事を口に含んでは出してを繰り返すというのが目立っていた。

その翌日の昼、レオンは突然の痙攣と共に泡を吐いて倒れ動物病院に緊急入院することになる。 そして今朝、レオンは息を引き取った。

実家から訃報のLINEを受けて速攻で動物病院に向かった。 雨が降りしきる動物病院の前で母と妹がレオンの亡骸が収められた箱を抱えて僕を待っていた。

「レオンちゃん、がんばったよ」の母の声とレオンの亡骸を見て、僕は号泣した。
31歳の男が鼻水と涙をダラダラと流しながらオメオメと泣いた。

午前の仕事を切り上げてパスポートの更新をしに行くはずだった親父も、予定を変えて実家に戻ってきた。レオンの相方であるルル(♀チワワ)は実家に帰ってきたレオンの亡骸の入った箱を遠目で見つめると「レオンはどこに行ったのよ?」と困ったような顔をして僕たち4人を見上げる。

そのまま家族4人で動物病院に紹介された火葬場へレオンを荼毘に付しに向かった。

火葬場で棺にレオンを収める際に抱っこした時、まだ死後硬直が始まってないこともあり身体はほのかに温かかった。(本当はただ寝ているだけなんじゃないかと疑ってしまうほどだ) 係りの人が手押し車でレオンの棺を火葬室へと移動させ、その場で最後のお別れをする。 ゆっくりとしたスピードで閉まっていく火葬室の扉。それを半ば放心気味にぼーっと眺めていたら唐突に喪失感が現実味を巻き上げ伴い、容赦無く僕を襲い僕の顔は再び鼻水と涙で顔がいっぱいになった。

レオンは骨になって、小さな骨壷に納められた。

帰りの車中でFMラジオからサラブライトマンの「Time to Say Goodbye 」が流れてきて「なんだよ!もう!」って思った。

さよならだけが人生ならば また来る春はなんだろう

この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ

レオンとの出会いと別れ、その全てが大切な僕の財産です。