自称義賊詐欺師達とマカオ
自称義賊詐欺師アキラを読んだ
- 作者: 三森公政
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2014/07/19
- メディア: コミック
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エイジとアキラの出会いから詐欺師チーム結成までの過程に安直なものを感じたけれど、この漫画の本質としては 華麗な詐欺の手練手管を駆使して悪い奴らから金を奪い取り読者の溜飲を下げるところにあるので総合的な満足度は 悪くない。
ただ、作中で悪人から巻き上げた金をマカオのカジノで「洗浄」する話には、この漫画が刊行された当時のマカオのカジノ事情を考慮すると 丁度、カジノ産業自体が低迷し始めた頃なので作中で描かれる華やかさに若干の違和感を覚えた。
マカオのカジノ事情
マカオ経済の根幹を成し収益規模でラスベガスを上回っていたマカオのカジノ産業は現在進行形で低迷し続けている。 要因としてはカジノとユーザーを仲介するジャンケット事業(かなりグレー)からの投資マネー離れや、胡錦濤政権から習近平政権に変わって「トラもハエもまとめて叩く」の演説と共に開始された汚職・腐敗の一掃キャンペーン等の影響があるだろう。インパクトとしてでかいのはやはり後者の方だろうか。
マカオのVIPルームに落ちる汚職マネー
意外にも中国の役人・政治家の公式の給料は民間企業に比べて遥かに薄給だ。ただ、それでも彼らの蓄財が白日のもとに晒されるとその金額規模は尋常じゃないものになっている。これは中国がそもそも共産党の許認可行政であり、お給料の安い役人・政治家が相当な権限を有しているということがポイントである。その権限の中で一番解りやすいのものに土地の開発権限が挙げられる。
中国の土地はすべて中国共産党の所有物で、そこに発生するリース料金を掌握するのは役人達である。 当然、都市開発などのデベロッパーは便宜を図ってもらうために役人達にリベートをばらまくのだが、そのばらまきの舞台がマカオのカジノ(VIPルーム)で、リベート授受の過程で相当な金がマカオにも流れていく。マカオのカジノが成長していった背景にはこうした中国の腐敗・汚職マネーの流入というものがあるが、習近平政権になってからは当局の目が厳しくなり今までのようなマカオ経由での汚職マネースキームの維持が難しくなっている。
汚職マネーが断たれたマカオのカジノは今年に入りひたすら減収しているとのことで、こうした現状を踏まえてマカオもカジノに特化した観光地から幅広いアトラクションを揃えたリゾート地へとの変革を迫られているようだ。
取り留めのないエントリーになってしまったけど、何だかんだでやはりマカオのカジノに一度は行ってみたい。
あと詐欺師には気をつけようね!