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ガンニバルが怖い

最近、食人と村八分をテーマにした漫画「ガンニバル」を読み始めたのだけど、
これ、めちゃくちゃ怖い!

山間の村に妻と娘と共に赴任してきた駐在阿川は、長閑な村の静かにゆっくりと流れる時間の中で、家族との平和な暮らしを期待していたが・・・熊による老婆襲撃事件を切っ掛けにして、村人達の異常性に気付き始める・・・。

「この村の人間は人を喰う・・・?」

疾走した前任の駐在が残した言葉が阿川の脳裏からこびりついて離れない。
やがて村に立ちこめる排他的な空気と滲出する「狂気」。
果たして、阿川は愛すべき家族を守ることができるのか。

ガンニバル (1) (ニチブンコミックス)

ガンニバル (1) (ニチブンコミックス)

  • 作者:二宮 正明
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2019/02/18
  • メディア: コミック

笑顔で「よそ者」と揶揄してくる村人の描写が典型的な「内」と「外」の対立構造をストレートに想起させて普通に怖い。
こういう地域モノの怖さの源泉は「村の秩序」を守る「内」とその秩序に無理解な「外」との対立の様相に歪な偏りがあるところなんだけれど、本作はそれに加え、食人という異様なテーマが絡みつくことで更に「怖さ」を盛り立てている。

ガンニバル 2

ガンニバル 2

  • 作者:二宮正明
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2019/05/20
  • メディア: Kindle版

ガンニバル (3) (ニチブンコミックス)

ガンニバル (3) (ニチブンコミックス)

  • 作者:二宮 正明
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2019/08/19
  • メディア: コミック

ガンニバル 4

ガンニバル 4

  • 作者:二宮正明
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2019/11/18
  • メディア: Kindle版

ガンニバル 5

ガンニバル 5

  • 作者:二宮正明
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: Kindle版

老後の資金がありません 感想

コツコツと貯めた老後資金1200万を元に、安泰な老後生活を計画していた後藤篤子。

だが、事態は唐突に急変する。

娘夫婦の派手婚援助で500万、義父の葬式代負担で400万と大きく貯蓄を取り崩してしまったのだ。おまけに折からの不景気のあおりを受けて夫婦共々失職。 貯蓄も大きく目減りし、経済的に先行きの見えない不安の中、さらに追い打ちをかけるように娘夫婦のDV疑惑が浮上する。

泣きっ面に蜂な不運スパイラル状態の篤子は、それでも幸せな老後生活のためなりふりかまわず奮闘する。

老後の資金がありません (中公文庫)

老後の資金がありません (中公文庫)

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屍人荘の殺人 感想

屍人荘の殺人を読んだ。

屍人荘の殺人

屍人荘の殺人

冒頭、大学キャンパスの学生食堂で他愛の無い葉村と明智らによる推理合戦から、映画研究会の撮影夏合宿に参加・・・までは王道的なクローズドサークルミステリーを予感させる流れだったけれど、まさかの「展開」で未だかつて類を見ない新機軸なクローズドサークルミステリーを読ませてくれるとは思わなかった。いやいや度肝を抜かれた。

2018年版このミス1位(国内版)は伊達じゃないね。

まあ、剣崎比留子への調査報告に「それ」を匂わすようなワードが散見されていたので意識の端っこの方に「まさかね〜・・・」と薄っすら「それ」のイメージは持ってはいたけれどまさか本当にあの要素をぶち込んでくるとは思わなかった。

ほんと、脱帽モノ。

名探偵の証明 感想 零落した探偵の再生への道程

市川哲也の名探偵の証明を読み終える。

名探偵の証明 (創元推理文庫)

名探偵の証明 (創元推理文庫)

100%の事件解決率を誇り、そのめざましい活躍から推理小説界に「新本格派」ブームを牽引する旗手として一世を風靡した名探偵 屋敷啓次朗。彼もまた無情に過ぎ去る時の中で寄る年波には勝てず、「新世代探偵」の台頭もあり齢60にして世間から忘れ去られてすっかり零落してしまうが、支援者や昔からの相棒の計らいを受け何とか奮起しようと試みる。

正直、本作に難解な謎解きミステリーを期待すると肩透かしを喰らう。実際、この作品が焦点を当てているのは一人の探偵が経験する隆盛と衰勢、そしてそこに生じる懊悩からの奮起だ。

その過程には新・旧問わず名探偵に付き纏う世間の批判(例えば「名探偵が存在するから凄惨な事件が起きてしまう!諸悪の根源は名探偵だ!」)が添えられ、それに対して自分の使命のためにはどんな障壁があったとしても、乗り越えていくしかないという矜持の再点火を強く示している。

ただ、その再燃からの終幕の件は衝撃的で、読後感にはただただ物悲しさだけが残ってしまったのが少し残念だった。

作中で啓次朗とタッグを組んだ新世代探偵を軸にしたシリーズが続いているようなのでそちらのチェックは一応しておこうと思う。

読書日記 早春の化石 感想

定住探偵 神山健介シリーズの 2作目。

早春の化石 私立探偵 神山健介 (祥伝社文庫)

早春の化石 私立探偵 神山健介 (祥伝社文庫)

舞台は1作目同様、福島。

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読書日記 サーラレーオ 感想

新庄耕が描く悪漢小説(ピカレスク・ロマン)

大麻の栽培と密売で検挙される寸前、辛くもバンコクに逃亡した日本人カセが破滅への道程を疾走していく様を淡々と綴っている。
ちなみに「サーラレーオ」とは、タイ語で「人でなし」という意味。

サーラレーオ

サーラレーオ

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