ビックデータ・コネクトを読んだ
- 作者: 藤井太洋
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 文庫
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サイバー犯罪捜査官とサイバー犯罪の元容疑者がタッグを組んで個人情報絡みの事件を追いかける警察小説。 元容疑者である武岱のキャラが立っていて、その存在感に本筋の話が絶妙にフックアップされている。
「XPウィルス」の作成と配布の罪で逮捕された武岱は2年に渡る勾留の末に不起訴処分となるも、長期の勾留期間によって蝕まれた彼の身体は痩せこけ釈放された頃には骨と皮の亡者然に成り果ててしまう。しかし、その2年後には驚くべきことに彼は筋骨隆々・頭脳明晰というスーパマンへと変貌を遂げていた。 そんな武岱がかつて自分の取調べ担当だった捜査官とコンビを組むという「設定」を軸にして、主要登場人物達(主に警察関係者)のキャラが本筋の流れの中で自然に深掘りされていくのが良かった。
手垢のついたような構成の話だとしてもキャラに魅力・奥行きがあると見える光景が全然変わってくる。