ユニコーン企業の凋落に思う
エッセンシャルフォン PH-1
にandroid 10
が配信されていた
エッセンシャルフォン PH-1
というAndroid端末を皆さんは御存知だろうか?
PH-1
は、Androidの生みの親と言われたアメリカの技術者(Googleにて技術部門担当副社長も歴任)アンディ・ルービンが自身の会社Essential Products Inc.よりリリースした新時代のスマートフォンで、ベゼルレスの洗練されたデザインとモジュラーフォンという新しい概念を前面に打ち出し2017年の秋頃に華々しくリリースされた。
当初は業界内で注目を浴びたものの、その後値段の高さやカメラ性能が期待されていたレベルに至らないといった諸々の要因から、業界のポジティブな反応とは裏腹にその売上は低迷していくこととなる。
僕自身、このエッセンシャルフォン PH-1
は2018年秋頃に投げ売り価格となったタイミングで購入して、モジュラーアタッチメントのカメラでひとしきり遊んでみたものの普段遣い端末に昇格させることなく(そもそもFeliCaがない)そのまま放置状態にしていたのだが、 android 10
に対応しているということを思い出したので引き出しの奥底から救出・給電後、久しぶりに起動してみた。
android 10
の配信が来ている。
おお。android 10
にアップデートできた。
Essential の公式回答によると2021年までは安全に使えそう。(しかし、2020年でソフトウェアアップデートは終了)
2 years of software updates and 3 years of security patches.
— Essential (@essential) May 25, 2018
ユニコーン企業が市場に投じたモジュラーフォン
所謂モジュラーフォン(modular phone
)の先駆けとして2年前にセンセーショナルな登場をしたこの PH-1
。
開発元の企業 Essential は、約3億ドルの資金調達によりハードウェアスタートアップ界隈で早々にユニコーン企業としてもてはやされるも、2017年時点での出荷台数は僅か88,000台に留まる程度だった。
Apple 等の主要プレイヤーでさえ苦戦している昨今のモバイル端末市場でEssentialは、当初予定していた計画通りに事業を進めることができず、さらに創始者アンディ・ルービンの女性問題による雲隠れ的な休職や、従業員のレイオフ敢行を経て とうとうプロダクトの開発を中止して他社への身売りを検討するという差し迫った状況を迎えていた。 (これは、つまりホームアシスタントデバイス の Essential Home Hub
が市場に登場することなく終了したということを意味する)
せめて在庫は一掃しようという腹積もりなのか、唐突に PH-1
端末やモジュラーアクセサリーの価格が投げ売りレベルに下落。
ちなみに着脱可能な360°カメラモジュラーアクセサリーは当初の価格 250ドルから19ドルにまで下落している。(僕はそのタイミングで購入した)
こうして改めてこの2年間の動きを簡単に俯瞰してみると、Essentialの時代は過ぎ去ったという印象は拭えない。
この早過ぎるユニコーン企業の凋落は、普段僕らの生活の中に溢れる生存バイアスな現象や甘言というものについて、真に受けてはいけないと警鐘を鳴らしてくれている。
(もちろん、だからと言って大胆な挑戦をしないということではない)
ただそんな状況で android 10
が PH-1
に配信されるということはユニコーン企業 Essentialの最後の輝きと考えても差し支えない。(実際の光源はGoogleの Android OSだけど)
PH-1 積極的に使っていきたい。
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(ただ、普段使いは Google Pixel 3 XL
と iPhone7
なので、今のところ開発用のテスト端末ぐらいでしか利用シーンはなさそうであるが・・・)