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P2PレンディングのFunding Circle

年が明けてから何かと身の回りで銀行不要論が活発化しており、個人的にちょっと興味が湧いたので色々と調べてみたら面白そうなFintech絡みのサービスを見つけた。

それがFunding Circleだ。

Funding Circleは資金を借りたい人と貸したい人をインターネットで仲介するP2Pレンディング(Peer-to-peer lending)のプラットフォームだ。

www.fundingcircle.com

融資の申し込みを受けると、その借り主の経営状態を5段階に評価(格付け)しその評価に応じて金利( 5%〜22%)が設定される。融資をする側はその評価と金利、借り主情報を元に融資を行うことが可能だ。 (評価が良ければ金利は低く、悪ければ高い)

既存のエスタブリッシュメント的文脈での融資(銀行)では、それに係る面倒な手続きを突破したとしても必ずしも融資が受けられるわけではないので、このような融資を受ける方とする方のマッチングを行って融資機会を増やしていこうとする仕組みは純粋に良いなと思った。

ちなみに日本国内におけるP2Pレンディングの事例としてはクラウドクレジットの公募型ファンド方式があるが、こちらは子会社化した会社に対して公募で積み上がった募集総額を貸し付けるスキームで、融資する企業の入念な選定が前提となっている。 crowdcredit.jp

Funding Circleのマッチング方式では運営側はあくまで仲介業者のポジションでリスクの指標と金利を提示するというだけの存在なのが新鮮ではあるが、融資先の経営状態の評価ついてどの程度まで深掘りしていくのかという点は気にるところだ。 運営側が評価するとして、それに付随する責任範囲の問題などリスク要素は結構大きいのではないかという印象を受ける。 (サブプライムショックでのムーディーズやS&Pといった格付け会社の信頼の揺らぎ、責任の所在についての問責騒動はまだまだ記憶に新しいところ)

また、大体において金利自体は銀行で借りるよりも高くなるようなので当然貸し倒れするケースも相当数発生するだろうから、そういった事案が発生した際の収束フローも気になるところだ。

もちろん、こういった懸念は事業領域的には必ず挙がらざるを得ないものなので「だからするべきではない」という話ではなくて、どのようにしてリスクに備えていくのかというのを考えるのが重要である。

日本でも押し寄せるFintechの波を受け、同様な性質のサービスがそろそろ出てきてもおかしくはなさそうだが、日本国内の保守的な空気感や法整備的な問題等が足枷になって周回遅れしそうな予感がしている。

(実は過去に日本国内でも個人間で融資を行うサービスは存在していたが、法整備や文化の問題からいずれも撤退、休止状態を強いられていた)

決定版 FinTech

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